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フォルダ漁ってたら(ry


■内容■

バルアシェ現代パラレルThisIsLove・extra。
ThisIsLoveシリーズの、えぇと、数日後、くらい?
初めてのお泊まり、の翌朝。
真面目に読む話ではない。


ThisIsLoveシリーズはもうかなり今更感があって、正に誰が読みたいだけれども。
夏休みだし、いいよね!(意味が分からない)

うちのフランさんは常にこんな役回り。ごめんなさいごめんなさいorz
少なくともあと二つ、こんなのがある気がするよ。(反省してない)

+ + +


「……何時?」
ブラインドの隙間から差し込む光が明るい。
朝だ。
未だ半ば微睡みながら、それでもそう認識して問い掛けたアーシェに、答えはすぐ横から、程なく返された。
「あー……十時?」
「そう」
もうそんな時間か。
思いながら、再び目を閉じる。柔らかなベッド、肌触りのいいブランケットは、アーシェを快く包み込んでくれる。
一瞬の後、一度閉じたその瞳が、はっと見開かれた。
「……十時!?」
ブランケットを胸元に引き寄せ、飛び起きる。やはり二度寝を決め込もうとしていたバルフレアが、迷惑そうに眉根を寄せた。
「なっ……あなたの部屋の時計、狂ってるんじゃないの?」
時計を探して辺りを見回したが、それらしいものは見当たらない。と、何かを掴んだバルフレアの手が、眼前にぬ、と伸びてきた。
「あんたの携帯の時計だが」
「人の携帯を勝手に見ないで!」
叫んで、差し出された携帯電話を奪い取る。ディスプレイの時計を慌ただしく確認して、アーシェは長々と息を吸い、そして、吐いた。
「――本当に十時だわ」
「何をそんなに大騒ぎしてるんだ?」
バルフレアが、俯せになって枕を抱き締める。呑気な声音に、アーシェはバルフレアをきっと睨み付けた。
「講義に決まってるでしょう?」
「一回ぐらいサボったって平気だろ。午後から行けば?」
「今日の午後は休講なの」
「じゃあ尚更だ。ゆっくりしていけよ」
「なんて怠惰なの!? ――二コマ目には、急げば間に合うわ」
「無理だろ」
「間に合うわよ」
「昨日と同じ服で構わないのならな」
「!」
ベッドから降りようとしていたアーシェは、その動作をぴたりと止めた。
二日続けて同じ服を着ていくなど、外泊しましたと公言しているも同様ではないか。
好奇の目で見られるのは我慢ならない。かといって、自分の部屋へ着替えに戻る時間も、ない。
「な? だから、ゆっくりしてけって」
バルフレアの腕が、アーシェの腰に絡みつく。誘うように、軽く引き寄せられる感触に溜息を吐いて、アーシェはバルフレアを振り返った。
「……あなたは?」
「ん?」
「あなたの講義は」
「卒業要件単位は取得済み。研究室には、きちんと実験進めてる限りうるさくは言われないから、ま、後で一度顔出せば」
「四年生ともなると気楽なのね」
「今年楽するために、去年まで苦労したんだよ」
ご利用は計画的に。どこかで聞いたフレーズを、尤もらしく口にする。
「ところで、実験って? あなた、理学部だった?」
家政科じゃないのは知っているけど。
訊いたアーシェに、バルフレアは苦笑めいた笑みを零した。
「いや。工学部」
「工学部?」
「航空学科。何か不満でも?」
「自分の手を汚すようなタイプには見えないわ。理学部の間違いじゃないの?」
「手を汚すってなぁ」
職人を馬鹿にするなよ。
言いながら、バルフレアはアーシェを引き寄せる。
「理論を弄り回すよりは、自分で作り出す方が性に合ってる」
「そうなの?」
「そう。理論より実践」
「ちょっと」
「何」
「……また?」
会話の合間に、なし崩し的に組み敷かれていた。
口許を引き攣らせたアーシェを見下ろして、バルフレアがに、と笑う。
「理論より実践」
「それってこういうことじゃないでしょう」
「つまらない駆け引きを繰り返すよりも、抱き合った方が効率的。だろ?」
「それは」
そうかもしれないけれど。
緑がかった榛色の瞳が見下ろしてくる。初めて見る散らばった前髪が、その表情にいつもと違う雰囲気を纏わせる。
それに、不覚にも見入った。
その瞬間。


「バルフレア。まだ寝ているの?」


いるはずのない三人目の声と共に、寝室の扉が開いた。
「!?」
ぎょっとして、そちらを見やる。闖入者と目が合った。女だ。
「な、……」
同性とはいえ見知らぬ他人にあられもない姿を見られてしまった。ていうか誰。どうしてここに。
動揺のあまり言葉が出ないアーシェとは対照的に、眉一つ動かさない無表情のまま、女は小さく小首を傾げた。
「お邪魔だったかしら」
「……フラン」
舌打ちして、バルフレアが肩越しに振り返る。
「そう見えないなら、眼科に行くことを勧めるぜ」
「……ちょっと」
少しばかり冷静さを取り戻し、アーシェはバルフレアの肩を指先でつついた。
「ねぇ。……どなた?」
「ん?」
自分と女との間を交互に行き来するアーシェの視線を見て、バルフレアが面倒そうに嘆息する。
「あぁ、こいつ。ほら、あれ。ハハオヤ」
「母親!?」
驚いて、アーシェは思わず飛び起きた。ブランケットを奪われて、バルフレアがおい、と睨んでくる。それに構わず、アーシェは女を凝視した。
流麗な銀髪を一つに束ねた、バルフレア並に長身の、バルフレアよりほんのいくつか年上なだけだろう美女。
いくらなんでも、母親は有り得ない。
と、女が、呆れたように息を吐きつつ腕を組んだ。
「バルフレア。あなた、私が何歳の時の息子?」
「引き算しろよ」
「素敵。ギネス記録更新かも」
「申請してみるか」
「……馬鹿なことを言っていないで、説明してもらえる?」
頭痛を感じて額に手をやる。女がふ、と微笑んだ。
「従姉よ」
「……いとこ?」
胡乱げに繰り返して、バルフレアを見る。ベッドに片肘を突きつつ横たわったまま、バルフレアは軽く肩を竦める仕草をした。
「うちの母親、俺がまだガキの頃に、な。その後こいつが、そりゃもううるさく俺の世話焼いて」
母親みたいなもんだ。
バルフレアの言葉に、女が頷く。
「そう。だから、鍵を持ってるだけ。何も心配することはないわよ、お嬢さん」
「え」
女の真っ赤に彩られた唇が、にこ、と笑った。含みのある笑みに、アーシェはかあ、と頬を赤らめる。
「私は、別に」
口の中でもごもごと呟いたが、女は、もうアーシェに興味はないとばかりに視線を外していた。
「バルフレア。服、置いておくから」
女の手にしていた大きな紙袋が、扉近くの床に置かれる。
「何だ、それで来たのか? 取りに行くから店に置いとけって言ってんのに」
「私のお店はあなたのクローゼットじゃないの」
「服? ……お店?」
怪訝な顔をしたアーシェに、バルフレアが女を親指で指し示す。
「こいつ、服屋。知ってるだろ? Griffe・de・Lapin」
「……知ってるわ。好きなお店よ」
「あら。ありがとう」
ふと、何かに気付いたように、女がアーシェをじ、と見つめた。思わず、胸元で押さえたブランケットを引き上げる。
「あの。何か?」
ベッドサイドに近寄られ、しげしげと顔を覗き込まれる。これがデフォルトなのだろうか、やはり無表情のまま、女が呟いた。
「可愛いわね」
「は?」
咄嗟に何を言われたのか分からず、アーシェは胡乱な声を上げる。
「可愛いだろ」
「え?」
同意の声に、混迷が深まる。
「何の話……」
困惑するアーシェに構わず、女はマイペースに言葉を続ける。
「今、femmeもいくつか持ってるの。貴女、着てみない?」
「femme……って、Griffe・de・Lapinの?」
「勿論」
女が頷いたのに、アーシェの目が輝く。
「着たいわ。着させてもらえる?」
「是非着てみて頂戴。きっと似合うわ」
突如活気付き、身を乗り出さんばかりのアーシェに、女は満足そうににっこりと微笑んだ。
「ありがとう。ところでその服、三時間ばかりお借り出来ないかしら」
「構わないけれど。何故?」
女が小首を傾げる。
ふ、と勝ち誇った笑みを浮かべ、アーシェは拳をぐ、と握り締めた。
「二コマ目。行けるわ」
「まだ諦めてなかったのか」
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