忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

初音ミクオリジナル曲「ワールドイズマイン」(supercell.sakura.ne.jp/wim/ ←頭にhttp://)。
バルアシェでこのネタ(僕だけの君でいて2)をやったらどうも腹の立つ話になったので、バルネロならどうだ!と自分的リベンジしてみました。
やっぱり微妙な感じな気がしました。
敗因は一人称視点か。
私が一人称やると、どうも色々直接的すぎてダメな人間になる気がします。
でも「あぁんもう、」が書きたかったのでこの形式じゃないと無理なような気がした。
このセンテンスだけ抜き出すとなんか怪しいな。


■内容■

バルネロ現代パラレル保健医×女子生徒。
何番煎じ?なネタ。


+ + +

ちなみにSSはパンネロ視点ですが、「マイン」は保健医だと思う。
てか今思ったけど、タイトル、mineなんだ。
oursじゃないんだ。

あ、えーと、作中に出てくる小説、私は読んでないです。
そんな物をネタにするな。

+ + +


いつもは三つ編みお下げの髪を、アップにしてみた。
制服の時は黒の革靴だけど、今日は、新しいミュールを履いてきた。
ちょっとだけ高いヒールで、ちょっとだけ細いヒールで、ちょっと大人っぽ過ぎるかなって思ったけど、でも、ラインストーンのデザインがすごく綺麗なの。
夏休みだからって一緒にお出かけとかは出来ないし、お部屋デートだけど、でも気合い入れてきたんですけど。
なのに、先生?

「上がれ」

え、あの、それだけ?
「待ってたぞ」とか「外は暑くなかったか?」とか「随分と背伸びした靴だな」とか、そんな至れり尽くせりな言葉や鋭いツッコミが欲しいわけじゃないけど、でも、「その髪型、似合うな」くらいは、言ってくれて然るべきじゃないですか?
……なんてことは、言わないけど。
「……お邪魔します」
それだけ言って、リビングに移動。
お部屋デートというと、まぁ、どうしても、不健全なことになりがちなので。
夏休みなので、お部屋デートの頻度が上がってるので。
一日お部屋デートの日は、お部屋に来てから一時間は、何が何でも宿題。
そんな約束事を、作ってみた。
「今日は?」
「数学です」
「そうか」
「分からないところは教えて下さいね」
「残念ながら、頭ってのは使わないと衰える。それはもう凄まじい速度でだ」
「……要するに、自力でやれってことですね?」
「察しがいいな」
「先生、ちょっと前までは学生だったんじゃないんですか」
「時の流れってのは残酷だな」
「じゃあ、参考までに訊きますけど、何の教科なら教えてくれます?」
「──」
「あ、スミマセン、やっぱりいいです」
訊いた瞬間に見当が付いて、答えられる前に制止した。危ない危ない。むざむざ自分から罠にはまるところだった。……罠って。
問題集とノートをテーブルに広げたところで、先生はソファに撤退した。
夏休みとはいえ、先生は、平日は学校に行っている。大体のお仕事はきっちり片付けてくるらしく、週末の今日は如何にも暇つぶし、といった風情で、お仕事の物ではなさそうな本を読み始めた。
……そういえば、読書感想文の宿題もあったっけ。何を読むか、まだ決めてない。
「先生、それ、面白いですか?」
「ん?」
「読書感想文の宿題があるんですよ。面白いなら、後でお借りしたいなぁって」
「……あぁ」
先生が、何故だか意表を突かれたような顔をした。
「まぁ、面白い感想文が書けるだろうが。読むのか?」
「何か、マズイですか?」
「俺は別に構わんが」
言いながら、こちらに本の表紙を向ける。そして、どうだ?という風に首を傾げた。
「えーと? 『チャタレイ夫人の恋人』……」
タイトルを読み上げる。
この本は、確か。
「……や、あの、やっぱりいいです」
「いいのか? 完訳だぞ」
「いいですってば!」
手と首をぶるぶると振る。先生が、くすくす笑いながら視線を本に戻した。
顔、真っ赤になってるんだろうなぁ。思いながら、手のひらをほっぺに当てた。そのまま、上目遣いに先生の様子を窺う。
……先生って、そういう本、読むんだ。
「教養」
あぁ、なるほど。そうですね、一読はしておくべきなのかも。
……って、
「何で私の考えてることに答えてるんですか!」
「顔に出てるぞ」
「そこは流して下さい!」
ああぁもう、何、私のことなんてみんなお見通し?
じと、と先生を睨む。と、先生が本から顔を上げた。
「休憩か? 冷蔵庫にプリンがあるぞ」
そんなことは思ってません!



そんなこんなで、本日の宿題終了。
その後は、お部屋デートじゃやることにそうバリエがないので、定番のDVD鑑賞。このところ、映画にちょっと詳しくなった気がする。最新の、じゃないところが微妙に切ないけど。
今日のチョイスは、恋愛要素もあるアクション映画。画面の中で、登場人物のカップルが、ごく自然な調子で手を繋ぎ、歩き出す。
あぁ、これ。
お部屋デートしかできない身の上としては、憧れるなぁ。車でお出かけしたことはあるけど、でもそれじゃ、手は繋げないし。ブツリテキセッショク? 手を繋ぐ、それ自体は、したことあるけど、でも。
……手、繋ぎたい、なぁ。
ちらり。横を見る。先生が、テレビの画面を眺めてる。と、見つめる視線に気付いたのか、先生がこちらを見た。
「……」
手を、ね。
繋ぎたいの。
目を合わせたまま、ソファの上の右手を、じり、と先生に近づけてみる。
ネフィーリアの彼氏が、車の免許を取ったんですって。それで、白い車を買ったんですって。迎えに来てくれたりとか、するんですって。
羨ましいわけじゃないの。……や、うぅん、正直に言えばちょっと羨ましいけど、でもそれは迎えに来てもらえることが、じゃなくて。
そんなことをして欲しいわけじゃなくて。
無理だって、分かってるから。
今は、ただ、手を、

「──あ、」

首筋に、触れる、手のひら。
熱い。
どきん。心臓が、跳ねて。
引き寄せられて、画面が見えなくなって視界が暗くなって目の前には先生しかいなくて、
「待っ、て」
先生に包み込まれる。声が、呑み込まれる。
伸ばした手が取られて指が絡んでどきん、込められた力にもう一度心臓が飛び跳ねて、

あぁんもう、違うんだけどなぁ~……





「何を拗ねてる?」
運転席の先生が、前を見たまま口を開いた。
「え?」
聞き返したのに、先生が息を吐く。
「結局、プリンも食わなかったし」
「え、やー……それは」
だって、あの流れで食べたら、ただの食いしんぼじゃないですか。
なんてことは言えず、膝の上、お持ち帰りしてきたプリン入りの袋を見下ろして、言葉を濁す。
と、キ、と音を立てて車が止まった。止まっただけじゃなくて、エンジンも切れた。
「あの。……先生?」
家までは、まだ少しある。送ってくれた割には、中途半端な場所。
「歩くか」
「え?」
「たまにはいいだろ」
言いながら、先生が車を降りる。
「え、あの、先生? もし、誰かに見られたら」
急な提案に面食らいながらも車を降りる。車を挟んだ向こう側に立っている先生が、に、と笑った。
「委員長さんちの近所には、学校関係者はヴァンしかいないからな。少しくらいなら平気だろ」
「でも」
「ご近所のパンネロちゃんが男と歩いてた、なんて噂を立てられたらまずいか?」
「え」
ひそ、と囁かれた声に、先生を見る。……笑ってはいるけど、肯定したら傷つくんだろうな。色んな意味で。
「……そんなことはないです、けど」
「じゃあ問題ない。行くぞ」
言って、歩き出す。その後を、慌てて追う。
急に、どうしたんだろ。無言のまますたすた歩いている長身を、横目でそっと見る。
何か、話してくれたらいいのに。あぁ、星が綺麗。……なんてことを話題にするには、空が明る過ぎる。正確には、地上の灯りが。
先生は、何考えてるのか分からない。
もっと、話してくれたらいいのに。
何か、話してくれたらいいのに。
──うぅん、話さなくていいから。
せっかく一緒に歩いてるんだし、手、繋ぎませんか。
ほら。
手、空いてるんですけど。
体の横で、そっとひらひらさせてみる。でも、先生は気付かない。
先生。
気付いて?
ポケットに引っ掛けてるその手、こっちに伸ばしてくれないかなぁ。
あぁもう、どうして?
私のこと何でも分かってるみたいな顔する癖に、肝心なとこ、分かってない。
先生。
気が付いてよ、早く。

「──きゃ、」
がくん、と視界が揺れた。
「おっと」
声がして、すかさず、伸ばされた腕に支えられる。
「大丈夫か?」
「あ、はい……」
ヒールが、道路の段差に引っ掛かったみたいだ。
足先のミュールを見下ろしていると、先生が、く、と笑った。
「委員長さんは、俺じゃなくて自分を気にするべきだな」
その言葉に、はっと顔を上げた。
見てたの、知ってた?
先生が、くすくす笑いながら腕を解く。
「ほら。行くぞ」
何気ない調子。
手を、引かれる。



「先生」
知ってたんですか。訊こうとして、やめた。
知ってたに決まってる。
変えた髪型、背伸びした靴、ひらひらしてた手。
首筋に触れた手のひら、転ぶのが分かってたみたいに伸ばされた腕、もういいか、そんな顔で繋がれた手。
私が何を考えてるかなんて、先生はみんな分かってる。
全部、分かってやってる。

「……の、いじわる」

先生が振り返った。
あぁもう、悔しい。
何その勝ち誇った顔。
PR


[724]  [716]  [723]  [722]  [721]  [720]  [719]  [718]  [717]  [715]  [714
* * *
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
Archives

Search in blog

* * *
* * *
* * *
忍者ブログ [PR]
| Designed by A.com | Graphics by *05 free photo & Simple Life