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ちょっと前に、ここで、共感覚というものについて書きまして。
そしたら「こんな映画があるよ」との情報を頂きまして。(その節はどうもありがとうございました!)
観てみました。

以下、思いっきりネタバレの微妙な感想。(微妙って。)

前もって、「世間での評価はイマイチです」と釘を刺されてはいたのですが。
うん、その評価の意味が何となく分かった^^;


+ + +

とある富豪が殺される。現場には謎の血痕。これに何らかのメッセージが込められているのではないかと睨む女刑事。
共感覚に目を付けた彼女は、共感覚者同士であれば血痕のメッセージを読みとれるのではないかと捜査を続け、ある共感覚者の男に辿り着く。


+ + +

……と書くと、この共感覚者の男が犯人だな、と思われると思うのですが、これはそういう話ではありません。
映画紹介サイト(www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=6042 ←頭にhttp://)では「ボーイミーツガールの普遍的な愛の物語」と書いてありましたが、これもちょっと疑問です。
あらすじなんかはそちらを見て頂くとして。

話のアイデアは、悪くないと思うんですよね。
ある特殊な感覚の持ち主しか読みとれないメッセージ。それに絡んで起こる事件。
すごくミステリアスじゃないですか。
おまけに、お互いにしか分からない感覚を持つ男女が運命的な出会いを果たしたとくれば、ものすごくドラマチックな恋愛映画になりそうな気がします。
けれどいかんせん、男が江口洋介、女が宮崎あおいなので、年齢差がありすぎて、恋愛と言うにはどうも……

しかも残念なことに、この映画、誰に感情移入したらいいのかが分からない。
謎解きの立場から行けば、女刑事でしょうか。しかし彼女は、ストーリーの狭間にしか出てこない。
では、江口洋介演じるところの共感覚者の男でしょうか。ストーリーは主に彼の視点で動きますし、まぁ、順当だと思います。けれど彼については、致命的に感情移入できない。
共感覚を持つことによる苦悩、過去の闇、誰にも理解されない孤独感。
そういったものの描写が非常に甘く、彼を理解できないんです。
彼は折に触れ「こんな風に感じる」と第三者に向けて話してはいますが、本当にただ話しているだけ。
あなたに共感覚があるのは分かった、だから何?としか、思えないのです……

評価サイトでしょうか、その手のところでよく言われていたのが、「監督はあのラストシーンを撮りたいがためだけにこの映画を撮った」。
きっとそうなんだろうなと思います。
二人だけにしか見えない世界を映像化した、とても綺麗な画面です。
でも、そこに辿り着くまでの過程が、あまりよろしくない。
誰にも理解されなかった者同士が、やっと理解者に巡り会った。
そんなカタルシスを、ラストのこの場面で感じるべきだったのだと思います。
でも、前述の理由から、江口洋介演じる男が理解者を求めているようには思えず、従って理解、共感が及ばず、感動も、得られませんでした。


+ + +

これ、もっと違う話にすればよかったんじゃないだろうか。
例えば、主人公は女刑事。彼女は共感覚者で、小さい頃いじめに遭ってたりして、誰にも理解してもらえないという孤独感、心の闇を抱えつつ、けれどあえて自分をしっかりと保つため、刑事という法の下の職に就くわけです。
で、ある殺人現場で、謎の血痕に遭遇。彼女は共感覚でそこからあるメッセージを読みとります。それが気になって独自に捜査を続けていき、そして辿り着いたのが共感覚者の男。
男は女刑事とは逆に、抱えた苦悩故に闇側に落ちてしまい、殺人を犯してしまったわけです。
血痕に込められていたメッセージは仲間を求める類のもので、それに従ってやってきた女刑事に男は言います。
「この世界中で、俺たちだけが同じだ」
「俺はあんたが分かる。あんたも、俺が分かるだろ?」
表向きは共感覚についての台詞ですが、女刑事は、殺人を犯す気持ちも理解できるだろ、と言われているように感じます。
その深い闇を、確かに理解できる女刑事。男を捕らえるべきか否か、逡巡します。男は、女刑事にとっても初めて出会えた理解者なのです。
で、ラストは二人で逃亡なり心中なり、あるいは女刑事の正義感、倫理感が勝って男を逮捕なり、監督の解釈でいいように作ればいい。(急に投げ遣り。)

作品のテーマが「ボーイミーツガール」、すなわち「自分を理解できる相手に運命的に巡り会った」なのなら、捻れた兄妹愛だのを持ってこないで、こういうベタな作りにしちゃえばよかったんじゃないかと思う。


+ + +

色々、雰囲気だけで作っちゃったな、と感じた映画でした。
アイデア自体は悪くないと思うだけに、音楽も画面も綺麗なのに、勿体ない!


+ + +

と、こき下ろしてみたのですが。
血痕のメッセージ。
そこに込められていたのはある音楽、だったそうなんですが、作中で、少女はその音楽をピアノで演奏してるんです。
で、ちゃんと聴いてみたら、これ、エンディングテーマの曲なんですね。
歌詞を見たら。
少女がどんな思いでこの模様を描いていたのかと思ったら、ちょっと泣けた。
この切なさを、もうちょっと分かりやすく表現すればいいのに……

私、これに気付くまでに、関係するシーンだけですが四回くらい見たんですが。
エンディングと作中のピアノアレンジバージョンとでは雰囲気がかなり違うし、映画館で一回見ただけでは歌詞も把握できないだろうし、音楽の意味に気付いて感動にまで至るというのはなかなか難しいんじゃないかと思うんです。
こうやって色々把握してみて、その上でもう一回見て、音楽にも浸って、そこまですればあぁいい話かもしれないと思わなくもないけど、でも、普通はそこまでしませんよね。
あぁもう、本当に勿体ない映画!

ちなみに曲は、竹仲絵里「gerbera」です。
曲だけ聴いてもアレでしょうが、下記、参考までに。

jp.youtube.com/watch?v=YVF1tgaHZCI ←頭にhttp://


+ + +

ところで、上の動画でも見られますが、スタッフロール直前に出てくる二人。
一人は江口洋介ですねこれ。
え、でも、本編最後で、三人……
三人のうちの一人が江口洋介じゃないなら、あれは一体、誰?
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