誰が読みたいこんなSS・３ *2007/04/06 (Fri) 08:52 - 呟き -

拍手御礼SSの為のお題を探していて、巡り会ったお題なのです。
が、こんなもの（お題ではなくSS。念のため）を御礼にしてはいけないと理性が叫びまくってくれたので、とりあえずここへ。
しかしこれ、サイトに再録する時にちょっと悩むタイトルだ。
考えすぎですか、そうですか。


■内容■

バルアシェパラレル。
バカップルがいちゃいちゃしてるだけの話。
初っ端からアレなシーンで微妙にR18な気がしなくもないが、期待されるようなことは何もしていない。


+　+　+

一体どこにしまってるんだろう。
しかもストックが別の場所にあるらしいよ。


+　+　+

こんなものを置き土産に、２～３日消えます。

+　+　+


「――ん」
唇が触れるまでのプロセスは種々あるが、触れてしまえば後の展開は同じだ。
ソファの背凭れに軽く押し付けられながら、アーシェはそんなことを思う。
「……、ぁ」
触れる指の感触に、吐息混じりの声が漏れる。声が漏れたその場所を、長い指が楽しげに探る。
「ん、……や、ちょっと」
ざわめき始めた体を誤魔化すように、アーシェは自分を押さえ付ける腕の肩を押した。と、
「嫌じゃないだろ」
聞こえた、今にもくすくすと笑い出しそうな、過剰に笑みの滲んだ声。
肩口に埋まっていた顔がこちらを見る。その、緑がかった榛色の瞳は、やはり笑った形をしている。
「だって」
アーシェがその瞳を軽く睨め付けると、バルフレアは僅かに小首を傾げた。
「何だよ。灯りか？」
「それもそうだけど」
「何」
灯りを消せという要求を綺麗に無視して、バルフレアはアーシェをそっとソファに押し倒す。形ばかりの抵抗でその腕に手を掛け、アーシェはバルフレアを見上げる。
「だから……」
「――あぁ。ソファじゃなくてベッドがいいって？」
笑いながら落とされた台詞に、アーシェは思わず呆れた声を上げた。
「誰もそんなことは言っていないでしょう？」
「俺はベッドの方がいいがね」
悪びれもせず、バルフレアが言ってのける。その顔を見やって、アーシェはむ、と眉根を寄せた。
「……じゃあ、運んで」
露骨な台詞に呆れはしたが、確かに、ソファよりはベッドの方が色々気にせずに済むという物だ。
憮然としたまま腕を伸ばしたアーシェに、バルフレアがく、と笑う。それをまた睨み付けると、バルフレアはアーシェの機嫌をとるかのように恭しげに頭を垂れた。
「姫君の仰せのままに」
「いつもそう、従順にしていればいいのよ」
軽口を交わしながら、下げられた首に腕を回す。抱き上げられ、数歩の距離を移動した後、さらりとした感触の上に下ろされる。
「ん」
間を置かず、重なる唇。掛かる重み。触れる温もり。
心地よさにそのまま流されそうになって、アーシェははっと我に返った。
「ねぇ、ちょっと……待って」
忍び込む手のひらを追い出し、伸し掛かる体の下で精々藻掻く。と、バルフレアが不機嫌そうに顰めた顔を上げた。
「何だよ、さっきから」
どうやら、察してはもらえないようだ。
仕方なく、アーシェは実に言いにくそうに、口を開いた。
「……準備、しないの？」
「何を」
「……あれ……」
「あれ？」
掻き消えそうに小さな声で呟かれた言葉を繰り返して、その瞬間、思い至ったらしい。
あぁ、と言う顔をして、バルフレアがアーシェを見下ろした。
「アレか。いるか？」
「当たり前でしょう」
「ない方がいいんだがな」
溜息を吐きながら体を起こすバルフレアを呆れた風に見やって、アーシェはその肩を軽く小突いた。
「馬鹿なことを言っていると、後で泣きを見るわよ」
「泣くかよ」
「え？」
問い返した声は、バルフレアには届かなかったようだ。「アレ」を取りにベッドから下りたバルフレアが、小さく舌打ちした。
「切れてたか。確かあっちに……」
何やら呟きながら、部屋を出て行く。
ベッドの上に起き上がり、その後ろ姿を見送りながら自らの膝を抱え、アーシェは軽く息を吐いた。
「……冗談じゃないわ」
まだ１９。まだ学生。
自分にも、人生設計という物がある。一時の感情の勢いでそれを台無しにしてしまうなど、真っ平御免だ。
なのに。
「冗談じゃ、ないんだから……」
深い意味はなかったのだろう台詞。
もしかしたら、アーシェの解釈とは違う意味で紡がれたのかもしれない台詞。

そんな物に、堪えようもなく笑みが浮かんでしまうのは、何故だろう？



「アレいる？」
【Title by 藍の塔／お題バラ　（http://www.geocities.jp/ao_no_tou/）】